八代市で新築工事を行っているⅯ様邸。

前回の前編で、棟木を上げる作業までお伝えしたので、今回はその後編をレポートします。

 

まずは、屋根を組む作業から…

 

 

小屋束に小屋梁を組み付けていきますが、この時に使われるのが、「かすがい」というコの字型に曲がった釘です。

 

 

子どもへの愛情から夫婦の仲が良くなり、縁が保たれることのたとえで、「子はかすがい」とよく言われますが、その「かすがい」がまさにこの金物です。二つの木材が離れることがないよう、しっかり繋ぎとめてくれます。

 

これまでいろいろと木造建築の用語を使ってきましたが、屋根の部分をまとめて図解すると以下のような形になります。

 

 

それぞれの木材に意味と役割があり、お互いに支え合って、補強しあって、立派で頑丈な建築物になっていくのです。

 

そして、棟上げ開始から2時間弱が経過。

 

 

10:00にはここまで一気に組みあがりました!

休憩も挟みながら、まだまだ仕事は続きます。

 

 

水平器を使って小屋組みのタチを見て、雲筋交いを釘で固定していきます。

 

 

こちらは母屋カギ。

母屋は屋根の厚みをスッキリ薄くさせるために、少しカットします。

 

 

垂木がくる部分は、母屋を垂木カギして、この削った部分に垂木がのるようにします。

垂木をまっすぐそろえるために、ラインも引いてあるのが確認いただけるかと思います。

 

 

母屋の通りを確認したら、垂木を取り付けていきます。

 

 

垂木に記入されている線と、母屋に記入されている線をきれいに合わせて、垂木ビスで固定していきます。

 

 

作業は順調に進み、垂木取り付けが完了!見事に美しく平行に垂木が並びました。

ちょうど時間もお昼頃になり、お客様が昼食にお弁当とノンアルコールビールを用意してくださいました。

 

 

お客様からのお心遣い、ありがたくいただきました。

 

昼食を食べてお腹も満たされた後は、また作業へと戻ります。

 

 

屋根の垂木に、針葉樹合板を1枚ずつ丁寧に貼っていきます。

 

 

着々と合板を張っていき、あとはラスト1枚!

 

 

中央には、棟換気用の穴を空けておきます。

 

 

軒先の先端部分には瓦座も取り付けます。

 

そして屋根が終わったら、羽柄材の取り付けと金物取り付けに移ります。

羽柄材とは、丸太から柱や桁など大きな材料を製材した後に、残った部分からとる小さな角材や板材の総称です。構造材以外の製材品で、筋交いや間柱などがあります。

 

 

柱は金物でしっかり固定していくのですが、そこで使用する金物も、柱の位置や、壁や筋交いの種類により、種類や告示記号(いろはにほへと…)が変わってきます。

 

 

こちらの出隅の柱は、(ほ)金物。

 

 

そして、(ほ)金物のクランココーナー。

 

 

画像中央のT字になっているところが窓台で、この上に窓がつきます。

 

 

その後、外周は全面をシートで覆い、屋根にはゴムアスルーフィングを張って、雨が降っても大丈夫なように養生を行いました。

 

 

ここまで終わらせて、無事に棟上げが完了しました!

この日、たった一日で木造建築の基本構造がほぼ完成し、一気に家らしくなりました。

棟上げは、たくさんの大工さんたちが関わり、家の骨組み部分を作り上げる大事な工程です。この日、早朝からほとんど休憩もとらず、一生懸命作業してくれた熟練の大工さんたちには、心から感謝です!

 

理想の住まいが目の前でどんどん形になっていく、とてもドラマチックな一日でした!